Q:花粉症の目薬はいつ頃から始めれば効果的ですか?
花粉症は、早い人で、1月下旬~2月上旬から症状が出始めます。長年花粉症を罹っている方は、「そろそろ」と分かることがありますが、花粉の飛散状況などにより多少前後することがあります。
今年は、昨年よりも飛散量が少ないと予想されておりますが、決して油断はできません。
そこで、出来るだけ症状を軽く済ませるために、予防策をとることは賢明です。かゆみは無くても、目がゴロゴロする、目やにが出る、などの症状があれば点眼を開始しても良いでしょう。
花粉症の目薬には、第一選択薬である「抗アレルギー点眼薬」と抗アレルギー点眼液単独では、効果が不充分のときに使用する「ステロイド点眼薬」があります。
さらに「抗アレルギー点眼薬」は、「メディエーター遊離抑制薬」と「ヒスタミンH1(受容体)拮抗薬」の2つに大別されます。(表)
メディエーター遊離抑制薬(肥満細胞膜安定化薬)は、肥満細胞安定化作用により脱顆粒によるメディエーター遊離を抑制します。言い換えれば、結膜に存在するマスト細胞(肥満細胞ともよびます)からヒスタミンなど「かゆみ」を惹起する物質が放出されることを抑制する薬剤です。主な作用は「細胞膜の安定化」ですので、点眼後、効果発現までに時間がかかります。また、遊離されたヒスタミンには直接作用しませんので、急激・強い「かゆみ」を抑えることはできません。
一方、ヒスタミンH1受容体拮抗薬は、肥満細胞の脱顆粒により放出されるメディエーターの代表であるヒスタミンの作用を、ヒスタミンH1受容体に結合してブロックすることにより抑制します。塩酸オロパタジンであるパタノール点眼液0.1%は選択的なヒスタミンH1拮抗作用とメディエーター遊離抑制作用を兼ね備えています。
ステロイド点眼液は、抗アレルギー点眼液単独では、効果が不充分のときに使用されます。炎症による緒症状に優れた効果のある点眼液ですが、安全性に問題があります。長期間使用しますと、緑内障を誘発することがあります。また、ヘルペスウイルスや細菌による眼感染症に対する注意も必要となります。
多くの抗アレルギー点眼液は、あまり即効性が期待できないお薬ですので、花粉症であれば、季節前からの(予防的)投与法が、薬効を最大限に発揮させるために、推奨されていました。しかし、一部の点眼薬(リボスチン点眼薬など)は、臨床上、初回点眼後3日目から自覚症状、眼所見の改善がみられています。いずれの抗アレルギー点眼薬も、季節前(予防的)投与も、もちろん有効であると推測されますので、少なくともごく早期から点眼開始するのがよいのではないでしょうか。
尚、抗アレルギー点眼薬は、内科や耳鼻科でも処方することは可能ですが、目の所見を確認して、上記の点眼薬のどれが最も効果があるか、また緑内障(眼圧上昇)などの副作用が無いかは眼科医でないと判断できません。私も、長年他の科で点眼薬を処方されていた高校生が、進行した緑内障になり、手術をした経験があります。市販の「かゆみ止め」の点眼薬には、ステロイドを含んでいるものもあります。「かゆみが取れれば良い」と軽く考えずに、眼科で副作用のチェックを受けながらお使いになることをお勧めいたします。
また、数ある抗アレルギー点眼薬の中で、どのお薬が自分に合っていたか、覚えておくこともお勧めいたします。同じ作用のお薬でも相性があります。名前を憶えておくことで、自分を守ることができます。 .
国立 眼科|みたにアイクリニック|国分寺市 国立駅3分の眼科
2012年1月8日 カテゴリ:みたにアイ ニュース, 目の病気